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「短歌」2012年11月号

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「短歌」2012年11月号を読む。

第58回角川短歌賞は、藪内亮輔さんの「花と雨」が受賞。

おまへもおまへも皆殺してやると思ふとき鳥居のやうな夕暮れが来る
雨はふる、降りながら降る 生きながら生きるやりかたを教へてください


一首一首の中にも、50首の連作の中にも、強弱というか、緩急というか、抑揚のようなものがあって、そこが読んでいてとても心地よかった。

というのが、一読後の感想。

勿体ないので、引用は二首だけにしました。ぜひ雑誌を買って読んでください。

藪内さん、おめでとうございます。



同じ号の岩内敏行さんの評論「若手歌人による近代短歌研究・佐佐木信綱」にも注目した。

近代短歌を、新詩社(明星)vs根岸短歌会(馬酔木・アララギ)という二項対立の図式で整理してしまうと、例えば、「心の花」の佐佐木信綱をどう位置づけるかという問題が残る。(茂吉は信綱を「折衷」派みたいに位置づけているそうだ。)

岩内さんは、そうした二項対立を丁寧に解きほぐしながら、短歌史に、佐佐木信綱・前川佐美雄・塚本邦雄・佐佐木幸綱という、新たな一つの縦糸を読み取ろうとしている。(詳しくは岩内論文をご覧ください。)

願はくはわれ春風に身をなして憂ある人の門をとはばや


という信綱の一首に、「他者に向かって開かれた心」を読み取っているところにも胸を打たれた。

意欲的な力作評論だった。

岩内さんは「りとむ」の友人だが、ずっと前から近代短歌をテーマの一つとして粘り強く取り組まれている。尊敬すべき歌友(酒友?)のひとり。



写真は、札幌の焼き鳥チェーンの「串鳥」の見事な赤提灯。「串鳥」は、お通しで温かい鳥スープが出るのが定番。東京では、吉祥寺と荻窪に進出している。中央線沿線の方がうらやましい。
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